障害者の両親と共に

コンビニ・宅配・ネットがない頃の話 7歳だった私に食料を送ってやりたい 

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今から45年前。父が脳血管手術を受けた頃

小学校入学前から約1年。私は実質ひとりで暮らしていた

父の頭の中にある脳動静脈奇形を摘出するのに4回の手術が必要だと聞かされた。当時の病棟というのは、患者の身の回りの世話をしてくれるのは看護師ではなく、付添の身内か雇われ付添婦だった。お金を出してお願いするほどの余裕がなかったため、母がずっと病院で寝泊まりせざるを得なかった。

私は小学校入学のため、預け先から家に戻ってきたけれど、まだ母は病院でずっと付き添いをやっていた。病院から家までは少し距離があるため、母が家に顔を出せる時間は限られていた

買い物は 時間が掛かる不便な家事

コンビニがない時代。近所にスーパーも商店街もない所に住んでいる子供は、日々の食べ物すら自分で手に入れることができなかった。

母はたまに病院を出て買い物をしてきてくれた。しかし商店街での買い物ってのはとても時間が掛かるんだな。1つの店で欲しいものが全部買える訳じゃない。長い商店街を歩いて何軒もの店に立ち寄ってものを買わなきゃいけない。レジ袋もなかったから、籐で編んだ丸い買い物かごや、風呂敷に包んで持って帰ってたな、あの当時の人達は。

タクシーに乗るだけのお金もなかったから、母が手で運べる分だけしかものが買えない。しかも小学校に入学して1~2カ月って、授業は午前中だけなんだよね。つまり、3食とも家で何か食べなきゃいけないってことだ。買ってきてくれたものはすぐに底をつく。少しお金を渡されて「なくなったらパン屋さんで何か買いなさいね、ごめんね」と言われるのが常だった。

主食はパンとカップヌードルとお菓子

今思えば、私は炭水化物ばかり食べていた

偏った食生活を長く続けていると、足らなくなってる栄養成分を求めてるかのごとく、食欲が止まらなくなるそうだ。私もその状態だった。だから太り続けてしまったのかもしれない。

とにかく野菜果物が手に入らない。惣菜屋さんもない。あたたかい白ごはんさえ食べられなかった

うちにある炊飯器は、ガスレンジの上に置いて炊くタイプ。今の人、多分知らないよね。長い時間 火を使うと危ないからってことで、ご飯を炊かせてもらえなかった。カップヌードル用のお湯だけは沸かしたけどね。決して離れるな、火を止めるまでは動くんじゃないと強く注意されて。

近所の人はうちに近寄ってこなかった。父の脳血管奇形は伝染病だと、とんでもない噂をみんなが信じてたせいだ。だから、積極的に助けてくれはしなかったけど、家に入り込んでもこなかった。ある意味、安全だったかもしれないけどね。

とにかく辛い時期だった。

あの時を振り返って切実に思う。

せめてコンビニがあったなら。せめて通販サイトがあったなら。せめてスマホかタブレットがあったなら、と。

 

45年前の小包は 自宅まで荷物を届けてはくれなかった

重たい木の箱に入った荷物を 国鉄の駅まで取りに行く時代

宅急便なんていう親切なサービスもなかった。木の箱にものをつめて小包にし、国鉄(今のJRだよね)の貨物列車に乗せられた小包は駅で下ろされる。それを取りにいったりしてたんだよ、国鉄の駅まで。今でもJRの最寄駅から徒歩圏に住んでる人は圧倒的に少ないんじゃない?

段ボールの荷物、あったのかもしれないけど記憶にないな。木の箱は空っぽでも重かったよ。だから、誰かに何かを送ってもらえたとしても、私では家に持って帰れないんだ。バスで取りに行っても、バス停から家までは自分で運ぶことになるからね。無理だよ、当時の私はまだ7歳だったんだから。

病気で入院中のおばあちゃんが心配して、遠くからだけど日持ちのいいものを送ろうか?と言ってくれたけど断った。

欲しいものが欲しい時に家まで届く時代

今はパラダイスだ。

軽い段ボールに荷物を詰めれば、家まで取りに来てくれる。届け先の玄関まで荷物を持ってきてくれる。しかもにこやかに、そして丁寧に。ありえないよ。JRの駅まで行かなくていいなんて。

今はパラダイスなんだよ。

ネットから注文すれば、地域によっては数時間も待たずに生鮮食品も届くんだから。注文は私がしてもいいし、病院からお母さんがやってもいい。昔と違って今は電子レンジもある。レンジでチンすれば温かいものが安全に食べられるもんね。

タイムマシンがあったなら

あの頃の自分を今の時代に連れてきてやりたい。

お前が大人になる頃は、食べるものに困る時代じゃなくなってる。すぐそばにコンビニっていうキレイなお店があるんだ。24時間ずっと開いてる。本もあるぞ。読みたがってたよな。活字にも飢えてたよな。何でも買ってやる。洗剤もこんな小さな箱になったんだぞ。

今のつらい状況は長くは続かないから。生き抜けよ。あと数カ月の辛抱だ

たらふく食べさせて、そう伝えたい。

 

あの頃の自分に買ってやりたいもの

近所にパン屋と駄菓子屋くらいしかない場所にいた私が、「これが家にあれば、あの時の私でも何とか暮らしていける」と思うものを書き出してみたいと思う。

食事関係

  • 電子レンジ:火を使わない調理器具はマストアイテムだ。湯沸かしポットも便利だけど、熱い湯が沢山残っていたら、水を交換する時にやけどをする可能性がある。
  • 冷凍庫が広い冷蔵庫:当時の冷蔵庫の多くは、本体の上に小さな冷凍庫がついていた。本当に小さい。熱が出た時のためにアイスノンをいれておきたいし、氷も作っておきたい。冷凍食品の袋を5つくらい入れたらほぼ一杯になるくらいのサイズだったよ、うちのは。
  • 乾燥野菜・乾物・しょうゆ・みそ:これがあればみそ汁が飲める。包丁が使えなかったので、豆腐や野菜を料理するのは無理だ。
  • レトルトカレー:カレー、大好きだったんだ。
  • 野菜ジュース:本物の野菜果物には及ばないかもしれないけど、野菜不足を補いたい

生活用品

  • 洗剤・石鹸・シャンプー・乾電池・電球・ちり紙・ゴミ袋:ひんぱんに買うものじゃないけど、これが切れたら生活に困るよね。あの頃の電球、切れやすかった気がする。
  • 懐中電灯:台風が来るとよく停電したんだ。その時のためにろうそくを常備してたりしたけど、子供ひとりじゃ危なくて使えないよね。
  • 文房具:鉛筆削りは学校にあったからなくてもいい。ノートと消しゴムと鉛筆が欲しい。小学校低学年の頃は、鉛筆の芯をよく折っちゃって。絵や字を書くのが好きだったから、ノートも消しゴムもたくさん欲しいな。夜はこれで遊べるね。
  • :子供が行ってもきっと売ってくれない(と思う)。病院に行くほどじゃない時の常備薬が欲しい。風邪薬と正露丸とキズ薬とばんそうこう。

娯楽用品

  • :切実に欲しかった。本当に欲しかった。丁度オイルショックの時期で、本の値段もどんどん上がった。毎月「小学○年生」っていう本を読むのが楽しみだったんだけど、毎月値段が変わってるんだ。本屋に行くまで値段が分からなくて心配だった。
  • タブレット:ネット注文もできるし、絵や字を書くこともできるし、本も読めるし、音楽も聞ける。テレビもいいけど、大人向けの番組ばっかりの時はつまらないもんね。スマホもあると便利だけど、昔は公衆電話があちこちにあったから、外にいても電話を掛ける場所には困らなかった。なくてもいいや。

50歳を過ぎた私にとって、次の45年後はもうないな。私の頭の中には、父とは違う種類の脳血管奇形があるからね。脳の中に沢山ある。生きていく上で重要な場所にもあるんだよ。

自転車に乗ることも危険な私が買い物に困らずに暮らせているのは、家の近くにスーパーやコンビニがあるから。ネットでものが買えるから。それを運んでくれる人達がいるから。

●お世話になってます。本当にありがとうございます●

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  • この記事を書いた人

いめゆんな

「いめゆんな」は、生前の娘がネット上で使っていた名前です。これからも一緒に生きていこうと思い、この名前を引き継ぎました。 私は重度障害者の両親の元で生まれ育ち、学歴で人生の成り上がりを狙いました。京都大学卒です。母親から「家族性多発性脳海綿状血管腫」という遺伝性の脳血管奇形を引き継いでしまい、今は軽度障害者です。 海外ひとり旅歴35年。最近は沖縄離島自炊旅メインです。思い立ってダイエットをして45キロやせました。半世紀を越えて生きられた私の経験や思いを書き残しています。

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