「治りません。あなたの血管腫は治せません。経過観察するしかないんです」
「手術で残る後遺症の方がまだマシだ、と思われる状態になった時だけです。手術を考えるのは」
何人もの脳外科医に診断を仰いできたけれど、みな結論は同じだった。
私は壊れるしかないようだ。
私の脳海綿状血管腫は多発性。無数と言っていいほど数が多い。
家族性でもある。遺伝するってことだ。血のつながった家族は全員同じ血管腫を持って生き、そして逝った。
実例をたくさん見てきた私には、生半可な慰めは通用しない。
自分で自分の心を立て直すのみだ。
時々は心の立て直しができない日がある。今日はどうやらそうらしい。
ツイッターで書き散らかした文章を、今日の日記代わりに貼り付けて残しておきたいと思う。
これを読んでくれた同病者の方々。
単発性だったり身体症状が出ていない人は、ここまで深刻かつ悲壮なことを考える必要はないと思うよ、と先に付け加えておく。
不安になり過ぎないようにしてください。
今日みたいな私が偉そうに言うことじゃないけれど、人生は楽しみましょう。不安に潰されないように。
コロナの蔓延がなければ銀婚式記念旅行に行くはずだった。数年かけて貯めたマイルを使ってスイートクラスの飛行機に乗って
いつ収束するんだろう。それまで私の脳血管や命はもつだろうか
日に日に機能を削がれていく体と心に私は問いかける
もっと悲惨な目に遭ってる人がいるのを知りつつも
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
私の血管腫は遺伝性。血がつながった家族がどんな人生を歩んだか、幼いころから間近で見てた。両親は重度障害者として短く苦しい人生を閉じた。
冷静に自分の今後を考え、そして憂いている。早晩私も重度障害者になる。だからまだ動けるうちに夫と旅行をしたいんだ。
夢は叶うだろうか。
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
既に脳出血をして現在リハビリ中の方々に、私みたいな患者はどう映るんだろう。まだ手足が動くのに贅沢言ってんじゃねえってところだろうか。
恐らく多くの脳出血患者は、自分が近い将来障害者になることを考えることなく暮らしてきたんじゃなかろうか。
障害者になることがあらかじめ分かってる→
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
私のようなヤツは、将来への準備ができていいじゃないかという考え方もあるだろう。確かにそうだ。
けれど、治療の術がなく、壊れていくのを経過観察するしかない人生というのも辛い。
期限が明確でない余命宣告を受けたようなもの。来年はやってくるのだろうか。今年行けないから来年にしよう→
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
と単純に割り切れない。コロナが収束した時、私は自分の足で歩けるだろうか。話せるだろうか。自分のことが分るだろうか。それ以前に私は生きてるだろうか。既に脳幹にいくつもの出血痕があるこの私が。
最近は本当に眠たい。脳が疲れる時間が早くなった。無理に起きてると突然意識がとぎれて危ない。
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
今でも海外旅行はギリギリかもしれない。4月からは沖縄で大学に通うことになってたけど、それも辞退した。来年も合格できるとは限らない。一人で飛行機に乗れるかも分からない。
コロナで経済的に叩き落された人はこんなもんじゃ済まない。甘い悩みだと分かってる。それでも人生の残り時間が読めない
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
今の中途半端な状態が時々イヤになる。
気を悪くされたら申し訳ない。リハビリで少しずつ機能回復されていく方がある意味うらやましい。私はじわじわと壊れていくのを手をこまねいて待つしかない身。命が危ないと分かってるのに、手の施しようがない自分。やるべきことが沢山あるのに、何もかもが→
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
面倒で、無理に手をつけようとすると頭がぐちゃぐちゃし、いいいいいいっ!!と叫びそうになる。すべきことに追われて気が収まらない。締め切りが切れてるのが分かってるのに、やればすぐ終わることなのに、目の前にあることを何もできずに一日が終わる。
自立生活が可能な時間が少ないと分かって→
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
いるのに、何もできずに毎日無為に過ごしている自分。生き方として矛盾も甚だしい。
散らばって山をなす手続きが済んでない書類。何とかしようとすると思考停止する脳。明日でいいよと己を甘やかして一日が終わる。こんなことを繰り返して何年が経つんだろう。これからも同じことの繰り返しだろうか。
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
長雨が続くと碌なことを考えんもんだね。
気分が落ちた時はベランダの植物を見つめている。こいつらは時間を無駄にしない。毎日必ず伸びている。実をつけている。自分の意志で自分を傷つけようなどと一切考えず、ただただ光合成を繰り返し、突然の突風に耐え、虫に葉を食われながらも黙って生きている
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
時として人間は植物にも劣る情けない存在になる。
数日にわたって強風が止まなかった当地では、ベランダのトマトの枝が折れてた。青い実をたくさんつけている枝には将来があった。青いまま枯れていくんだろうと思いつつ拾って花瓶に入れて数日。こいつは見事に実を赤くして、今わたしの横にいる。
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
葉の傷みが激しい。花を咲かせて新しい実をつけることはない。今ある実を一人前のトマトにするために、こいつはモノ言わず一生懸命に踏ん張っている。ぼろぼろになり途中で折れた枝は、命とは何かを私に教えながら、すべての実が赤くなるまで耐えるのだろう。
植物は偉い。人は弱い。
— ちいでる | 脳海綿状血管腫と癲癇 (@samarka_samarka) July 18, 2020
以下の「更新通知を受け取る」を押すと、記事が更新されるたびにお知らせが届きます。
スマホの「通知」をONにしてご利用くださいね。
(iPhoneの場合だと「設定」→「通知」→「push7」→「通知を許可」をONにし、通知スタイルを選ぶ)