血管腫と共存する私の生活記録

私は屋久杉になりたい

屋久杉が生えているのは鹿児島県に属する南の島。岩で出来た島なので、もともと土が豊富にあったわけではない。なのにあの島の大半は森林におおわれている。

 

島に生えてる杉のうち、樹齢が1000年を超えるものを屋久杉と呼ぶ。

つまり屋久杉というのは、何千年も岩に根を張って倒れずに生き抜いた杉の証というわけだ。

 

成育環境は過酷だ。土がないだけでなく、頻繁に梅雨の豪雨が山を襲い台風の通り道にもなる場所で、何千年も岩の崩落に耐え、風に倒されることなく生き抜いて、やっと杉は屋久杉と呼ばれるようになる。

 

恵まれた環境で成長する杉は早く大きくなる。だから年輪の幅が広い。

その一方で、屋久杉のように過酷な場所にいる杉はとても成長が遅い。年輪の幅を見ればそれは明らかだ。

 

野原工芸さまHPより

 

この屋久杉は1cm成長するのになんと23年も掛かっている。あの太い幹はダテじゃない。千年単位で苦難を乗り越えたからこそ、こんなに成長が遅い杉なのに、木の外周をはかると9メートルもあるような巨木になれる。

 

そして、屋久杉クラスの木をやたらめったら伐採するわけにいかないこともあり、屋久杉は貴重な木材として流通する。

 

屋久杉のようになりたいと強く願って私は生きてきた。

生まれ落ちる場所を赤ん坊は選ぶことができない。植物の種と同じだね。

すくすくと楽に成長できる環境に落ちた種は幸せだ。大きな苦労を経験することなく、柔らかい芽はやがて大人の杉になる。

 

その一方で岩石に生えてる苔の上に落ちた種はどうなるか。

芽を出して一人前の杉になりたいのなら、苔であろうと岩であろうと必死にしがみつき、やがてはそいつらを抱きかかえるようにして大きくならねばならない。

それがイヤなら死ぬだけだ。

 

死にたくない。生き延びたい。

そして、せっかく育つのなら中途半端な杉で終わりたくない。

鬱蒼たる薄暗い森を突き抜けて、陽の当たる高みまで伸びていきたい。

 

屋久杉になりたい。

 

単に身体が大きいだけの杉じゃなく、年輪の詰まった屋久杉になりたい。

 

いつか岩盤の崩落や風雨に倒れることがあった時には、見事な材木となって何かの役に立てる存在でありたい。

 

しかしながら、残念なことに私が長生きする確率は低かろう。

長生きの杉にはなれないだろう。

 

それでも屋久杉のように生きていきたい。

苔の上で芽吹き、岩にしがみついて根を伸ばした杉であることを、誇りに思いながら生きていきたい。

 

私は屋久杉になりたい。

屋久杉として死にたい。

 

後悔など何もない。

そう言い切れる最期であることを願う。

 

 

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ちいでる

家族性多発性脳海綿状血管腫(脳幹・脊髄も含む)を持つ軽度障害者。治療不可。大きめの出血を起こして命を奪われる前に、私が生きた半世紀の記録と経験を書き遺します。具体的には45キロやせたダイエット法・病気や障害をぶち抜いて幸せをつかんだ記録・意外と楽しい今の暮らし・ひとり旅バックパッカーの旅行記など。大阪出身。

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