障害者と生きる・障害者として生きる

余命5年のつもりで生きる

人生が○年しか残っていないとしたら

 

「余命〇年」。まだ健康な人は無縁な言葉だと思う。でも敢えて問う。

もしあなたが「余命〇年です」と宣告された時、何をいつ、どのタイミングで行うだろうか。

 

なぜこんな縁起でもないことを書いてるか。それは、これからの人生を豊かにするためだ。

人間、締め切りがあいまいなことは先送りしがち。「面倒くさいから明日でいいわ」の繰り返しで時が過ぎていく。

しかし永遠に明日はやってくるわけじゃない。明日がやってきたとしても、体力が残っているか分からない。そうなってから、「あれも片付いてないのに。これもやりたかったのに」と嘆いても遅い。

 

全身の血管に血管奇形があり、身体の機能が少しずつ削られている私は、同年齢の人よりも先に老後を体験しているようなものだ。もう走れない。高いところに登れない。細かい手作業は人任せ。背中はまっすぐ伸ばせない。重いものは持てない。

そんな暮らしをしているからこそ強く思う。健康寿命が残ってるうちに、将来への備え、過去の棚卸しを終わらせた方がいい。体力や判断力がしっかり残っているうちに。

懸念材料が早く少なくなれば、安心して楽しめる時間が増える。

 

とはいえ、締め切りが見えてこないと、先送りのクセは治らないし、焦りを感じにくい。だから、自分に余命宣告をすることにした。「仮に、自分の寿命が〇年後に途切れるとしたら。私はいつ、何を、どれだけやっておけばいいんだろう」と意識するために。

数値や計画表に落としこまないと、物事はキチンと片付かないものだ。

 

なぜ余命5年なのか

 

実際の寿命はもう少し長いかもしれない。それでもあえて仮寿命を5年としたのには以下のような理由がある。

 

親族の寿命がだいたい60歳半ばで途切れた

母方の親族も父方の親族もみな短命だった。脳血管奇形を持っていた母、別の種類の脳血管奇形で手術を受けた父は、私が大学生の頃に相次いでなくなった。彼らと血が繋がっている兄弟も、60歳を越え数年でこの世を去っている。だから私にとって、寿命が60歳過ぎ、つまり58歳の今から考えると63歳。ちょうど60歳ちょっとすぎ。妥当な仮寿命として腹落ちするんだ。

 

脳出血した弟の変わりようを見て

私と弟は、母からの遺伝で同じ血管腫を持ってる。母もそうだったが、弟も脳の重要な場所で突然ヤバい出血を起こした。その結果、自分で車椅子を動かせない、言葉を話しても言葉になってない、数十センチ先のスマホが探せない。姿勢の制御ができず、ゆらゆら揺れて生きている男になってしまった。趣味を楽しむ能力はもうない。

同じ血管奇形を持っている弟をみるにつけ、これは私の将来かもしれないと強く覚悟した。こうなる前に、身の回りの整理をしつつ、人生をそれなりに楽しんでおかねばならない。

ムダな時間の過ごし方をしちゃいけない。人生の締切を意識して暮らさねば。

 

背骨がつぶれた

引退から4年半。私の身体にも大きな変化が起こっている。

「血管奇形は脳だけでなく、身体のあちこちの骨にもありますからね、将来的には何らかの影響が出るかもしれませんね」

と医師がいっていた状態が現実になってしまった。

具体的には、背骨の1本が破裂骨折してしまったのだ。破裂骨折とは、折れた背骨が神経側に飛び出ている状態。つまり、背骨が神経を圧迫している。

「このまま進むと神経がつぶれて足と排泄機能がマヒします。そうなったら手術です。大手術になりますから覚悟してくだい」

いつそれが現実になるか分からない。1年前の画像と比べると、骨が段々つぶれていく様子がわかる。すでに両足に強めのしびれが出てきた。

動ける時間はそう長くない。5年もつかどうか分からない。行き急がねばならない。

 

長すぎると危機感が湧かない

仮寿命を5年としたのは、長さを想像しやすいこともある。令和になってから丸6年弱。オープンカーに乗った雅子さまの涙、ダイアモンドプリンセス号で大爆発したコロナ感染。あれがだいたい5年前だ。

こまかいことは思い出せない私でも、平成から令和に変わった頃のことなら覚えている。時間の長さも想像しやすい。

具体的な計画を立てるなら、時間の長さを想像できる範囲にとどめるべきだ。でないと計画が絵空事になりかねない。長すぎてよく分からんからね。

 

 具体的なタイムテーブル

 

本当に重要なことは先に済ましておくのがいい。仮寿命5年とはいえ、いつ大出血を起こすか分からない私にとって、リアル寿命は5年もないかもしれぬ。だから、1年目にしっかりと準備をしたいと思う。

 

最初の1年は将来への備えと過去の整理

具体的にはこんな感じのことを考えている。実行するたびにブログ記事にして残す。

  • 災害に備える
  • 過去の自分をいたわる
  • 健康維持・ダイエット
  • 出費のダウンサイジング
  • 家の片づけ
  • エンディングノート作成
  • 夫の家事能力の向上

 

次の3年~3年半は楽しみ優先

懸念材料が減らないと安心して楽しめない。まだ片付いてないものがたくさんあるのに遊んでる場合か?と落ち着かない。だから、そういう時期が終わってる2年目以降に楽しみ全振りの生活をエンジョイできると思うんだ。

具体的に何を楽しむ予定なのか。

その時の体調によって変わっていくことだが、今の予定を書いてみる。

  • ひとりに慣れる
  • 人間関係の整理
  • 記念日を大事に
  • 趣味を充実させる
  • アウトプットを意識する

 

最後の半年~1年は人の手を借りると想定

人生の後悔は、多分この時期に一気に押し寄せてくる。キチンと老前整理ができてないと、本人も周囲も非常に不便で生きづらい日々を送ることになる。

この時期の後悔を減らし、少しでも快適さを残したい。

 

仮寿命5年を濃密に生きていきたい

 

どうだろう。これだけのことを5年間で行おうと思ったら、仕事がなくても結構忙しくなると思う。忙しいのは悪いことじゃない。締め切りがあるからこそ効率的に動ける、充実した時間を過ごせるとも言える。

だから、やることを明確にして、仮の寿命を設定し、日々を有益に過ごしていきたいと思う。

 

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くりからん

全身に遺伝性の血管奇形があります。脳や脊髄、身体を支える大きな骨に至るまで。出血するたびマヒや発作が強くなるのに、手術は危険なのでできません。そんな人生も半世紀を越えました。老後が見えてきた今。何をしておきたいか。どんな人生を送りたいか。日々考えてます。

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